2014年5月2日

モチベーションリソース • 導

“モチベーションリソース”

意欲と動機は何かを始めるときの原動力として欠かせない

小学校に入ったころ、私は集団行動と学校の機能を全く無視していた子供だった。
上級生の付けたあだ名は“問題児”
詳細は省くが、親も学校に呼び出されていたし、困った生徒だったことは間違いない。

あなたが先生だったとして、こんな生徒がいたらどうするか?

私が出会った先生はとても優秀な教育者だった。

1、2年生のときの担任の先生は、授業中も教室から抜け出してしまうような落ち着きの無い私が、絵を描いている時だけ集中して椅子に座っていることに気付いた。
ある日、先生が“私だけに”という感じで、ある提案をしてくれた。
「由美子ちゃんはとても絵が上手だから、コンクールに出してみたらどうかな?」
斯くして、みんなが下校した後の教室で、先生と私の絵画教室が始まった。
昔話の鬼を題材にした絵を、先生の指導のもと仕上げていく。
先生は美術を専攻した人で、色の使い方や陰影の付け方、筆の使い分けなどを丁寧に教えてくれて、毎日のこの時間がとても楽しみになった。
市のコンクールでは銀賞
賞を取ったということはとても嬉しかったけれど、先生に見守られて過ごした放課後の時間の温かさが私の中になにかを残した。

後になって先生に聞いたが、絵を描くということに完全に意欲を引き出された私は、道徳の授業後、先生に予想外の提案をしたらしい。(全く記憶にないのだが)
その日の紙芝居にいたく感動した私は、授業後先生のところに行って感想を伝え、こう言ったという。
「私も紙芝居を作ってくるから、みんなに見せるね」
楽しみにしてるね。と軽く返事をした先生は、2日ほどしてから、私のために特別に時間を割くことになる。
仕上げてきたのだ。紙芝居を。しかもストーリー完全書き起こし(笑)
もちろん自分で発表、まさに自作自演、自己満足に付き合わされるクラスメイト達
終わったときの満足げな顔が忘れられないという先生の後日談。

大人になってから先生に「大変だったでしょう」と詫びると、「楽しい子で毎日飽きなかったし、先生も勉強になったよ〜」とさすがの答え。

モチベーション=意欲 の リソース=源 さえあれば、人は期待以上の力を発揮する。

私が楽しめることに特化してゴールを設け、導いてくれた観察眼
頼んでもない紙芝居を作ってきた私の発表を歓迎してくれたこと


その場で必要とされ、期待されている、その場が自分の居場所で、発言が歓迎されている、能力を認めて個性を尊重してくれている。
能動的な人間を作る答えは、問題児だった小1の私とあの先生にある気がする。